ライフサイエンスは21世紀の科学といわれています。ライフサイエンスの開発研究には、人材や設備に加えて、研究材料、即ちバイオリソースが必須です。
しかし、これまで我が国は海外で開発されたバイオリソースに依存することが多く、従って発想も限定され、我が国独自の研究の進展の妨げとなってきました。加えて、
近年はライフサイエンスの研究成果が産業化に結びつくことも多くなり、バイオリソースに係る知的財産権を先進諸国のみならず途上国も主張するようになってきました。
我が国の研究と産業を推進するための知的基盤として、我が国が自前でバイオリソースを整備することが益々必要になっています。このような要請を受けて、
理化学研究所バイオリソースセンターは、2001年に設置されました。設立以来、森脇和郎初代センター長の指揮のもと、「信頼性」、「継続性」、「先導性」をモットーに、活動して参りました。
また当センターの運営には、研究コミュニティとの緊密な連携が不可欠であり、センターの事業全体に関しては国外内の有識者で構成されるアドバイザリー・カウンシル、
各々のリソースに関しては、研究コミュニティの代表者から成るリソース検討委員会、また開発研究に関してはレビュー委員会の助言・提言を受けて、事業を実施します。
当センターは、研究開発上最も重要なバイオリソースであるマウス、シロイヌナズナ等の種子、細胞及び遺伝子、ヒトおよび動物の細胞、微生物、
動物およびヒト由来DNA等の遺伝子及び微生物に焦点をあて、収集・保存し、国内外の研究者に提供する事業を実施しております。これらのリソースの所在・特性に関する情報も提供しております。
2007年から始まった第2期ナショナルバイオリソースプロジェクトにおいて、当センターはこれら5種類のバイオリソースの中核的機関として活動しています。量的観点のみならず、
質的観点からも世界最高水準のバイオリソースの整備をするため、高度の品質管理を実施しており、特に、産業界での利用が多い、細胞材料と微生物材料については、
ISO9001国際品質マネジメント規格の認証を取得し、高品質のバイオリソースの提供を行っています。また、地震等の災害に備えて、貴重なバイオリソースを安全に保管するために、
理研・播磨研究所の協力を得て、バックアップ施設を設置しました。
2008年より開始した独立行政法人第2期において、バイオリソースセンターは横浜研究所から移管された3チーム、1ユニットの新しい仲間を加え、研究開発機能を強化します。
センターのミッションを明確にするために、センターの構造を前述のバイオリソースの収集・保存・提供を行う「リソース整備事業」をセンターの「核」として、「基盤技術開発事業」、
「バイオリソース関連研究開発プログラム」の3層構造にします。筑波研究所内で研究開発を行うバイオリソースセンター外の組織を「連携研究グループ」として設置します。
また、バイオリソースの整備のため、大学等のポテンシャルを生かすために、所外にバイオリソースセンターの「サテライト」を設置することも計画しています。
研究者コミュニティにリソースをより効果的かつ効率的に利用していただくために、当センターが保有するリソースに関わる高度技術を普及するための研修事業も実施しております。
近年のライフサイエンスの発展に伴い、作製されるバイオリソースも必要とされるバイオリソースも、種類と量が急激に拡大し、一国、一機関では到底対応できない状況になってきました。
国際的対応が必要であり、当センターは世界の関連機関と連携し、分担しながら整備を進めています。さらに、欧米と比べ遅れているアジアの底上げを目的とし、関連機関とアジアネットワークの構築を図っています。
当センターは設立以来、国内外の研究者コミュニティや関係各方面からの支援を受け、世界でも有数のリソースセンターとして認知され始めました。
今後も我が国のライフサイエンスを支える知的基盤事業の中核となり、尊敬と賞賛に値するセンターとなるべく最大の努力をいたす所存です。
関係者の方々の一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
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