BRC Current Technology
3. Xist遺伝子の発現調節による
体細胞クローン技術
マウスクローン技術は実用化の時代へ
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体細胞クローン胚盤胞におけるX染色体上の480個の遺伝子の発現量を、その染色体上の位置でプロットした図。 体外受精胚 (0の高さ) と比較して、通常のクローン胚の遺伝子発現量は著しく低下しているが(赤)、Xist遺伝子ノックアウトのクローン胚(緑)では体外受精のレベルまで回復している。 Xist遺伝子のノックダウン法により生まれた、1腹のクローンマウス。 出生率は30%(7/23)であった。
 世界初の成体体細胞由来クローン動物、クローンヒツジのドリー誕生が報告されてから、もうすぐ15年が経過します。 体細胞クローン技術は、1個の体細胞核から完全な個体を作出する唯一の発生工学的手法であり、畜産、創薬、再生医療まで幅広い応用が期待されていますが、その成功率は胚移植当たり数パーセントと極めて低いのが現状です。 このため、マウスクローン実験を継続的に進めている研究室は、世界でも数えるほどしかありません。 理研BRC遺伝工学基盤技術室はその一つの代表的な研究室であり、長年、クローンの成功率の改善をめざして研究を重ねてきました。 遺伝工学基盤技術室では、最近、その効率改善のカギがX染色体不活化を担うXist遺伝子にあることを突き止めました。 クローン胚では、活性X染色体からXist遺伝子が発現し、そのX染色体上の遺伝子の発現が顕著に低下しています。 そこで、X染色体遺伝子の発現を改善するために、異常なXist遺伝子の発現をノックアウト法あるいはノックダウン法によって正常化したクローン胚を作出しました。 これらの胚を発生させたところ、通常1-2%程度であったクローンマウスの出生率が、10%を超えるまでに改善しました。 ノックダウン法は、RNA干渉法を応用したもので、まだ雄胚にしか応用できませんが、生まれてくるクローンマウスは遺伝的に正常ですので、今後、マウス系統の保存などに幅広く応用できることが期待されます。
(理研BRC遺伝工学基盤技術室と動物変異動態解析技術開発チーム)
プレスリリース :
および
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2010/100917/index.html
 http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/111108/index.html
Reference : 1. Inoue et al., Science 330: 496-499 (2010)
2. Matoba et al., Proc Natl Acad Sci USA 108: 20621-20626 (2011)
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